ニュージーランド式保育とは


ニュージーランドには、1996年に教育省により導入された「Te Whāriki(テ・ファリキ。マオリ語で「織物のマット」の意。)」という幼児教育のカリキュラムがあります。

全国の保育園、幼稚園の教師は、このカリキュラムに則って保育していきます。

(ニュージーランドには「保育士」・「幼稚園教諭」という資格の区別はなく、保育園で働く人も幼稚園で働く人も職業はteacher(教師)です。)

 

ニュージーランド式の保育を一言で言えば、子ども主体で学び、成長していくことを支える保育です。

 

一から十まで教えるのではなく、子どもを一人の人間として尊重し、行動を見守り、必要に応じて少し手を貸すというようなものです。

 

また、子どもだけでなく、その家族や地域も尊重し、教師は家族や地域と一緒に子どもに関わっていきます。

 

では、Te Whārikiにはどんなことが書かれているのでしょうか?

 

Te Whārikiには4つの原則と5つの要素があり、これらに基づいた成長的ゴールが設定されています。

 

<4つの原則>

・Empowerment  学び、成長する力を発揮させる
Holistic Development  全体的(総合的)な学び、成長を目指す
Family and Community  家族や地域など、より広い世界は学びと成長に不可欠と考える
Relationships  人や場所、物との相互関係を通して学ぶことを重視する

 

<5つの要素>

Well-being  子どもの健康と幸福感が育まれ、守られる
Belongings  子どもと家族が帰属意識を持つ
Contribution  学びの機会は平等であり、子どもの社会貢献は価値あるものとされる
Communication  すべての文化や言語、象徴は奨励され、守られる
Exploration  子どもは周囲の環境を積極的に探求することで学ぶ

 

こうした原則と要素が実践レベルのプログラムに組み込まれ、ゴール は作られています。

 

例えば、Well-beingという要素はEmpowermentという原則に基づいています。

Well-beingには大きく3つのゴールがあり、それぞれに小さなゴール(学びの成果)が設定されています。

大きなゴール1は「子どもの健康が促進されること」で、全部で4つある小さなゴールのうちのひとつは「子どもは自分の体とその機能についての理解を深めること」です。

 

具体的に教師がすることは、そのお子さまの成長に合わせて変わります。

歩き始める前のお子さま(infant)とよちよち歩きのお子さま(toddler)、それより大きいお子さま(young children)では、大人が取るべき対応が違うからです。

 

一例として、infantに対しては「大人は子どもをよく観察し、苦痛や空腹、疲労のサインに応じること」、toddlerに対しては「睡眠習慣は、柔軟で落ち着いていて肯定的であること」と挙げられています。

こうしたことを園生活の中で、お子さまの学びと成長に繋がるよう、自然で適切な形で行動していきます。

上の写真はファリキ(マット)の織り目を描いたものです。

縦糸と横糸に4つの原則と5つの要素が書かれていて、ファリキが織り上げられるように子どもの人格が形成されていくことを表しています。

糸の左端には英語で、右端にはマオリ語で原則と要素が書かれています。

 

Te Whārikiは、教師じゃなくても、教育省のWebサイトからダウンロードしてすべてを読むことができます。

表現こそ多少硬くて難しく感じますが、内容はご家庭でも自然と実践できるようなものです。

Te Whārikiの考え方が、すべての人に平等で多様性を重んじ、個人を尊重しつつ家族やコミュニティーも大切にするという、誰もが納得しやすいものだからだと思います。

 

Kia Ora!ベビーシッターは、日本でベビーシッターとして活動する上でも、この原則と要素を忘れません。

各ご家庭のお考えを尊重しながら、お子さま主体の保育をしていきます。

 

ニュージーランドの幼児教育については、ネット検索するといろいろな情報が出てきますので、ご興味のある方はどうぞご覧ください♪